『めぐり逢う朝』Tous les matins du monde
第56回 奈良日仏協会シネクラブ例会
56ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara
◇日時:2021年2月28日(日)13:30~17:00 le dimanche 28 février 2021
◇会場:生駒市セイセイビル2階206会議室 Ikoma Seiseibiru 1er étage salle 206
◇プログラム:『めぐり逢う朝』Tous les matins du monde, 1991, 115 minutes
◇監督:アラン・コルノー Alain Corneau
◇参加費:会員100円、一般300円
100 yens pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇懇親会:中止 Annulation de la réunion amicale
◇問合わせ:Nasai206@gmail.com tel. 090-8538-2300(予約不要)
≪映画紹介≫
17世紀フランスのバロック時代の音楽家サント=コロンブ(作曲家、ヴィオール演奏者)の人生と、彼に師事して名をなしたマラン・マレとの師弟関係を描いた作品。サント=コロンブは著名な音楽家として名声を博した実在の人物だが、その生涯はほとんど知られていない。物語は彼の音楽を愛する小説家パスカル・キニャールが創造したフィクション。音楽・映像・衣裳・演技・台詞・語りが見事に照応した、アラン・コルノー監督の傑作。音楽と絵画、芸術創造と実人生、演奏家の愛と魂、人間の生の儚さ、愛の残酷さと美しさ、そして世界の神秘……。
アラン・コルノー監督は神秘的な部分を描くのに、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」、溝口健二の映画『雨月物語』と『新平家物語』を参考にしたという。映画の原作者パスカル・キニャールは、ギリシア・ローマから中国・日本の古典に至る古今東西の文学に通じた博覧強記の作家だが、この小説は『今昔物語』を下敷きにしたという。武満徹はこの映画を観た時に「不思議な懐かしさと、親しみを覚えた」と記している。
マラン・マレの役は、青年期は息子のギョーム・ドパルデュー、成人後は父ジェラール・ドパルデューの父子が演じている。37歳で早世してしまったギョーム20歳の時のデビュー作でもあった。
映画を通じて、サント=コロンブが弟子を通じて後世に残したヴィオールの音色に触れ、目に見えないものの存在に想いをはせることができる。音楽家は芸術のために身を投じるのか、人々に聴いてもらうために作品を作るのか、との問いかけもなされている。(淺井直子)