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『王妃マルゴ』La Reine Margot

第52回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
52ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時2019年9月8日(日)13:00 ~17:00  le dimanche 8 septembre 2019
◇生駒市セイセイビル2階206会議室 Ikoma Seiseibiru 1er étage salle 206
◇プログラム:『王妃マルゴ』La Reine Margot, 1994, 160 minutes
◇監督:パトリス・シェロー Patrice Chéreau
◇参加費:会員無料、一般300円 
gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇懇親会:例会終了後「カルメシ茶屋」にて Réunion amicale au restaurant Karumeshi-chaya
◇問合わせ:Nasai206@gmail.com(例会・懇親会とも予約不要)

≪映画紹介≫
彼女は美しいカトリック教徒でフランス王の妹、その名はマルグリット・ド・ヴァロワ。マルゴと呼ばれていた。彼はプロテスタントで礼儀知らず、髭の手入れもあまりせず大蒜と汗の匂いがするといわれている。その名はアンリ・ド・ナヴァール。二人は無理やり結婚させられた。宗教戦争によって引き裂かれたフランスを和解させる必要からの政治的策略だった。シャルル9世、アンジュー公、アランソン公のマルゴの3人の兄たちは、彼女を愛し、愛し過ぎていた。いかがわしくて独占欲の強い愛着だった。それでも彼らはみなその場にいて談笑し踊り、楽しむ風を装っていた。この家族の長はカトリーヌ・ド・メディシス。彼女は子供たちに表裏ある言動と権力への愛着を教えた。しかし8月の猛暑のさ中、憎しみと不安が、やがてすべてを封じこめようとしていた。
『王妃マルゴ』は、制作のクロード・ベリによって長いあいだ温められていた企画で、フランス史やアレクサンドル・デュマの小説に密着するよりむしろ私たちの時代の鏡に移し変えることで、瀕死の状態にある時代映画のジャンルを救い出そうと、当時の紛争(湾岸戦争、バルカン戦争、…)を拠りどころとした作品である。
監督のパトリス・シェローは、ダニエル・トンプソン(シナリオ)と協力して、センセーショナルな現代性全体をぼかすために、元の小説から本質のみ引きだして翻案し、欲望や神経症として際立たせ、源にある文学だけでなく、属しているジャンルをも超越した。フランス映画史において、このジャンルをまだ到達したことのない高みにまで押し上げ、画面を深紅の赤の血しぶきでぬらし、フレームに嘔吐をもよおさせるような悪臭を散りばめた。
シェローは、『ゴッドファーザー』のようなシチリア島の一族の物語という自らの主題に取り組み、ゴヤの絵画のように美しく、スコセッシの映画のように激しい、バロック的で暴力的な映画を誕生させた。彼は、デュマの小説を練り上げて、マルグリットの人物像をロマンチックというだけでなく、性愛と淫欲を抱いた複雑で熱狂的な女性像に仕立てながら、王国の退廃的で、きな臭いヴィジョンを作り上げた。(ピエール・シルヴェストリ)

Elle est belle, elle est catholique, elle est la sœur du roi, elle s’appelle Marguerite de Valois. Son frère l’a surnommée Margot. Il est protestant, on dit qu’il est mal élevé, mal rasé, qu’il sent l’ail et la sueur. Il s’appelle Henri de Navarre. On les marie de force. C’est une manœuvre politique : il faut réconcilier les Français déchirés par les guerres de religion. Ils sont trois frères, le roi Charles IX, Anjou son cadet et Alençon le plus jeune. Ils aiment Margot, ils l’aiment trop, d’une passion équivoque et possessive. Pourtant ils sont tous là, ils rient, ils dansent, ils font semblant de s’amuser. Le chef de cette famille, c’est Catherine de Médicis. Elle a appris à ses enfants la duplicité et l’amour du pouvoir. Mais dans la canicule de ce mois d’août terrible la haine et la peur vont bientôt tout étouffer.
Projet de longue date impulsé par Claude Berri, La Reine Margot cherche moins à coller au plus près de l’histoire de France ou au roman d’Alexandre Dumas qu’à sortir le genre moribond du film d’époque en le transformant en miroir de notre temps, l’œuvre prenant appui sur des conflits de l’époque (guerre du Golfe, guerre des Balkans…) afin de voiler l’ensemble d’une modernité fracassante.
Ne retenant du roman éponyme que l’essentiel, l’adaptant, le modelant à ses envies et ses névroses, Chéreau, aidé par Danielle Thompson au scénario, transcende non seulement sa source littéraire mais également le genre auquel il appartient, le propulsant à des cimes encore jamais atteintes dans le cinéma français, éclaboussant l’écran d’un rouge écarlate et empuantissant le cadre d’une fragrance nauséabonde.
Abordant son sujet comme une véritable saga sicilienne, Chéreau accouche d’un film baroque et violent, beau comme un tableau de Goya et brutal comme un film de Scorsese. Il malaxe le roman de Dumas pour en faire une vision décadente et sulfureuse de la royauté, faisant du personnage de Marguerite non plus une figure romantique mais un portrait de femme complexe et fiévreux, sentant le sexe et la luxure.

『未来よ こんにちは』L’Avenir

第51回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
51ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時2019年7月28日(日)13:30~17:00  le dimanche 28 juillet 2019
◇奈良市西部公民館5階第4講座室
Nara Seibu Kominkan, 5-kai (4ème étage) salle 4 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム:『未来よこんにちは』(L’Avenir, 2016年, 102 分)
◇監督:ミア・ハンセン=ラヴ Mia Hansen-Løve 
◇参加費:会員無料、一般300円 
gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇飲み会:例会終了後「味楽座」にて Réunion amicale au restaurant Miraku-za
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問合わせ:Nasai206@gmail.com(予約不要)

≪スタッフ≫ Fiche technique
監督 ミア・ハンセン=ラヴ Mia Hansen-Love
脚本 ミア・ハンセン=ラヴ Mia Hansen-Love, サラ・ル・ピカール Sarah le Picard,
ソラル・フォルト Solal Forte
撮影 ドニ・ルノワール Denis Lenoir
美術 アナ・ファルゲール Anna Falguères
編集 マリオン・モニエ Marion Monnier
録音 ヴァンサン・ヴァトゥー Vincent Vatoux, オリヴィエ・ゴワナール Olivier Goinard
衣装 ラシェール・ラウー Rachèle Raoult
制作 シャルル・ジリベール Charles Gillibert

≪キャスト≫ Distribution
ナタリー  イザベル・ユペール Isabelle Huppert
ハインツ アンドレ・マルコン Andre Marcon
ファビアン ローマン・コリンカ Roman Kolinka
イヴェット エディット・スコブ Edith Scob
クロエ サラ・ル・ピカール Sarah le Picard
ヨアン ソラル・フォルト Solal Forte
エルザ エリーズ・ロモー Elise Lhomeau
ユゴー リオネル・ドレー Lionel Dray

≪映画紹介≫
 「女優たちの輝き」シリーズ第2回はイザベル・ユペールを紹介します。セザール賞主演女優賞14回ノミネートの史上最多記録を持つ役柄の幅広さは、彼女のすぐれた演技力と特異な存在感の証。ミア・ハンセン=ラヴは女優から映画批評家を経て映画監督となった経歴の持ち主です。(浅井直子)

 ナタリー(イザベル・ユペール)はパリのリセの哲学教師。仕事に情熱を持ち、自分なりの思考をすることを生徒に伝えようとする。二人の子供の母親として家族で暮らし、昔の教え子たちや独占欲の強い母親との時間も大事にする。ある日夫は別の女性と暮らすために家を出ると告げる。彼女は自由を前にして、自分の生活に新たな意味を見出そうとする。
 監督ミア・ハンセン=ラヴのこれまでの4本の映画を見て好きになった人は、彼女の映画の特異性のすべてが含まれるこの映画にもとまどうことはないだろう。明快な物語の進展、登場人物の巧みな描き方、不確実な感情、仕事と個人的事情、家族関係と社会的地位、現実と理想などの間で揺れ動く複雑な状況。こうしたことの連続は、一見すると取るに足りないように思われるが、映画と人生の長い時間の中で積み重ねられることによって、小説的な意味やその広がりすべてを特徴づけるに至っている。監督は各シーンを配置するために時間をとって、家族の食事、ナタリーの著書を出版する編集者の新しい販売方針との不調に終わる会談、教室での授業、かつての教え子との知的な意見交換、夫との議論や押しが強くヒステリックな母親との口論の繰り返し等の場面を通じて、ナタリーの人物像と彼女の周囲の人々や彼女の環境が少しずつ明らかにされていく。(ピエール・シルヴェストリ)

『ルージュの手紙』 Sage femme

第50回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内 
50ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2019年2月24 日(日) 13:30~17:00 le dimanche 24 février
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室
 Nara Seibu Kominkan, 5-kai (4ème étage) salle 4 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム 『ルージュの手紙』(Sage femme, 2017年, 117分)
◇監督 マルタン・プロヴォ Martin Provost
◇参加費  奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円
gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇飲み会  例会終了後「味楽座」にて
Réunion amicale au restaurant Miraku-za
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

≪スタッフ≫ Fiche technique
監 督  マルタン・プロボ
脚 色  マルタン・プロボ
撮 影  イブ・カペ
美 術  ティエリー・フランソワ
衣 裳  バテシバ・ドレフュス
音 楽  グレゴワール・エッツェル
編 集  アルベルティーヌ・ラステラ
製 作  オリビエ・デルボス
製作総指揮  クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル

≪キャスト≫ Distribution
クレール    カトリーヌ・フロ
ベアトリス   カトリーヌ・ドヌーブ
ポール     オリビエ・グルメ
シモン     カンタン・ドルメール
ロランド    ミレーヌ・ドモンジョ
病棟主任    オドレイ・ダナ
セシール    ポーリーヌ・エチエンヌ

≪映画紹介≫
 主人公クレール(カトリーヌ・フロ)の職業は「助産婦」(Sage femme)、それがこの映画の原題です。映画はクレールが働く病院での出産シーンから始まり、この世に生を受けたばかりの新生児や周囲の人々の安堵と幸福感にみちた表情、決して楽ではない仕事に達成感と疲れをおぼえつつ、一日を無事に終えて夜遅くひとり自転車で帰宅するクレールの姿が、たんたんと映しだされていきます。ひとり息子のシモン(カンタン・ドルメール)は独立して今は一人で暮らすクレール。休日にはセーヌ川沿いの小さな菜園で野菜作りにいそしみ、隣の菜園で彼女と同じように趣味で農業をしているトラック運転手のポール(オリビエ・グルメ)とも気軽に言葉を交わします。
 平凡ながら充実した日常を送るクレールの目の前に、ある日突然、消息不明だった義母ベアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)が姿を現わします。ベアトリスはクレールとは対照的に、お酒とギャンブルが好きで自由を謳歌する生き方をしてきた女性。物語が進展するにつれて、対照的な二人の女性の性格や生き方が少しずつ浮き彫りになり、観客としては二人のいずれにも共感又は反感を覚える面があることに気づくかもしれません。
 カトリーヌ・フロとカトリーヌ・ドヌーヴ、二人とも数多くの映画に主演してきたフランスを代表するヴェテラン女優。二人の共演がなんといってもこの映画のみどころです。二人とももう若くはないけれど、自らの人生を歩んできた女優そして人間としての存在感が、登場人物のクレールとベアトリスにいっそうの生命力と輝きを与え、この映画を味わい深くしているように思います。後半部になって二人の女性と関わってくるトラック運転手のポールを演じるオリヴィエ・グルメ(ダルデンヌ兄弟監督『息子のまなざし』(2002) でカンヌ映画祭男優賞受賞)もまた、二人の女優にまけない独特の持ち味を発揮して、観客を楽しませてくれます。
 新たに迎える一日が、たとえ不確かな未来の始まりかもしれなくても、愛する人と別れることになるかもしれなくても、自分らしく生きていこうとする、登場人物たちの姿に思わず乾杯したくなるような作品です。 (浅井直子)

『山猫』 Le Guépard

第49回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
49ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2018年11月25 日(日) 13:00~17:00 le dimanche 25 novembre
◇会場 奈良市西部公民館4階第2会議室 Nara Seibu Kominkan, 4-kai (3ème étage) salle 2 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム 『山猫』(Le Guépard, 1963年, 186分)
◇参加費  奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円
gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇飲み会  例会終了後「味楽座」にて Réunion amicale au restaurant Miraku-za
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

(スタッフ)
監 督 ルキーノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti
原 作 ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ Giuseppe Tomasi di Lampedusa
脚 色 スーゾ・チェッキ・ダミーコ Suso Cecchi D’Amico
    エンリコ・メディオーリ Enrico Medioli
   パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ Pasquale Festa Campanile
   マッシモ・フランチョーザ Massimo Franciosa
   ルキーノ・ヴィスコンティ Luchino Visconti
撮影・完全復元版監修
ジュゼッペ・ロトゥンノ Giuseppe Rotunno
美 術 マリオ・ガルブリア Mario Garbuglia
装 飾 ジョルジョ・ペス Giorgio Pes
    ラウドミア・エルコラーニ Laudomia Hercolani
衣 裳 ピエロ・トージ Piero Tosi
音 楽 ニーノ・ロータ Nino Rota
使用曲 ジュゼッペ・ヴェルディ「華麗なるワルツ」
指 揮 フランコ・フェルラーラ Franco Ferrara
演 奏 サンタ・チェチリア交響楽団 Symphony Orchestra of Santa Cecilia
編 集 マリオ・セランドレイ Mario Serandrei
製 作 ゴッフレード・ロンバルド Goffredo Lombardo

(キャスト)
ドン・ファブリツィオ サリーナ公爵…バート・ランカスター Burt Lancaster
公爵の甥 タンクレディ…アラン・ドロン Alain Delon
アンジェリカ・セダーラ…クラウディア・カルディナーレ Claudia Cardinale
ドン・カロージェロ・セダーラ…パオロ・ストッパ Paolo Stoppa
公爵夫人 マリア・ステッラ…リーナ・モレッリ Rina Morelli
ピローネ神父…ロモーロ・ヴァッリ Romolo Valli
ドン・チッチョ・トゥメオ…セルジュ・レジアニ Serge Reggiani
パラヴィチーニ大佐…イーヴォ・ガッラーニ Ivo Garrani
シュヴァレ…レスリー・フレンチ Leslie French
カヴリアーギ伯爵…マリオ・ジロッティ(テレンス・ヒル) Mario Girotti
フランチェスコ・パオロ(公爵の長男)…ピエール・クレマンティ Pierre Clementi
コンチェッタ(公爵の長女)…ルチッラ・モルラッキ Lucilla Morlacchi
ガリバルディ軍の将軍…ジュリアーノ・ジェンマ Giuliano Gemma
カロリーナ(公爵の次女)…イーダ・ガッリIda Galli
カテリーナ(公爵の三女)…オッタヴィア・ピッコロ Ottavia Piccolo
パオロ(公爵の次男)…カルロ・ヴァレンツァーノ Carlo Valenzano

『パリの灯は遠く』、『仁義』、『サムライ』に引き続くアラン・ドロン特集しめくくりの第四弾。今回は、時代をさかのぼり1860年国家統一を叫ぶガリバルディ将軍率いる赤シャツ隊が上陸するシチリア島が舞台です。落日を前にした名門貴族の当主の悠揚迫らざる決断と新時代へ飛び込む若者たち。自然、土地、街、交通、屋敷、人々、衣装、光、音・・・。その時代その場所へタイムスリップしたような臨場感、登場人物の語る言葉のひとつひとつが重みをもって伝わる精緻な大作です。バート・ランカスター、クラウディア・カルディナーレ出演。第16回カンヌ国際映画祭で最高賞に輝いた巨匠の代表作。

(舞台と時代背景)
 イタリア南部のシチリア島。当時はナポリを含む南イタリアと共に《両シチリア王国》に属していた。舞台となるのは、サリーナ公爵家のある島の北岸の都パレルモと、その広大な領地があり夏にそこの別荘で過ごすパレルモの南方、内陸のドンナフガータ村のモデルとなったサンタ・マルゲリータ・ベーリチェ。
 1860年のイタリア統一戦争の時代。イタリアは、サルディーニャ王国と、ローマを中心とする教皇領の他は、他国の影響下にある5つの王国・公国を合わせた集合体にすぎなかった。独立国家であるサルディーニャ王国の主導のもとで独立・統一の運動と戦いが進められ、同年11月に両シチリア王国が滅ぼされ、1861年3月に統一国民国家としての新生イタリアが出発することになる。
 シチリアの歴史は2500年に亘る異民族支配の歴史で、1302年以降はスペインの統治が5世紀半に亘って続き、前世紀からはスペイン・ブルボン王朝の支配下にあった。1860年5月、統一を目指すガリバルディ将軍は義勇軍「千人隊(赤シャツ隊)」を率いてシチリアに上陸する。赤シャツ隊のスローガンは祖国統一と腐敗した貴族支配からの解放であったから、広大な領地と財産を所有する貴族は、大変革かあるいは没落かの局面に立った。こうした時代背景において、原作小説は名門貴族サリーナ家を設定し、歴史の荒海におけるその当主の内面と運命をどのように受け入れるか、また若い世代はいかに進路を見出すかを描く。
 その先の歴史であるが、統一後もローマを中心とする教皇領はフランス軍に守られる体制のままであったことなど、ガリバルディは新しいイタリア王国のあり方に不満をもち、1862年、義勇兵を組織して反乱を起こす。ローマへの侵攻を企て、今度は新王国政府と対立する事態を招く。最終的にローマのイタリア王国併合は1870年10月である。また農民は新政府になっても大土地所有制は廃止されず農地を得られないなどの現実に不満を持つ一方、旧貴族は現状維持された形で支配層として君臨し続ける。大土地所有制が廃止されたのは第二次世界大戦後のことである。
 なおマフィアは、18世紀後半、シチリア西部の農村地帯に発生した武装集団で、山賊の跋扈する無法地帯の治安を維持するとともに農地管理人とともに土地を暴力で支配し勢力を拡大して行ったもので、映画ではそうした背景を窺うことが出来る。

(見どころ)
 《山猫》というのは、シチリアの名門貴族サリーナ公爵家の紋章です。祖国統一と腐敗した貴族支配からの解放を叫ぶガリバルディの赤シャツ隊が上陸し、戦闘が繰り広げられる事態に直面した山猫の当主サリーナ公爵ドン・ファブリツィオ(バート・ランカスター)は、どのような態度を示すでしょうか?
 公爵には長男フランチェスコ、次男パオロ、長女コンチェッタ、次女カロリーナ、三女カテリーナがあり、われらがアラン・ドロンは、公爵の甥タンクレディ役で登場します。ポスターで黒い帯で片目を隠しているのはなぜ? 『仁義』、『サムライ』で見てきた犯罪の血が流れているあのニヒルな表情は今回見られるでしょうか? 公爵は、彼ら若者たちをどのように見ていて、公爵家の将来、自身の生と合わせてどのような判断をするでしょうか?
 さて、クラウディオ・カルディナーレ演じるアンジェリカが登場します。圧倒されます。村長で土地独特の勢力図において貴族を超える大財力をもったドン・カロッジェロの娘なのです。名門貴族の山猫サリーナ公爵は、農村マフィアの山犬ドン・カロッジェロに対してなにを言い出すでしょうか。公爵と公爵家付のピローネ神父や、オルガン奏者のドン・チッチョとのやり取りも実に興味深いです。きれいごとなんかでない、人間の重みがここにも生き生きと浮かび上がります。そして大舞踏会がポンテレオーネ家の大きな大きな屋敷で催されます。滅び行くものと、新しく輝き出すものとの円舞が、目の前で見るようなリアリティをもって展開されるのです。(大内隆一)

興福寺ギメ美術館出陳記念慶讃コンサート

日仏修好通商条約締結160周年を記念して、フランスにおいて「ジャポニスム2018」が開催されていますが、来年1月から、パリのギメ東洋美術館に興福寺の至宝、「木造地蔵菩薩立像」(重要文化財)、「木造金剛力士立像(阿形・吽形)」(国宝)が出陳されるのを記念して、興福寺と奈良日仏協会の共催のかたちでコンサートを開催します。

内容は今年の総会の懇親会でもすばらしい演奏をご披露いただきました坂本利文さんファミリーによるフランスの古楽演奏で、日仏伝統文化の出会いが実現することでしょう。興福寺の国宝館も併せて鑑賞いただけます。日仏協会会員枠には限りがありますので、お早めにお申し込みください。

✤開催日:2018年10月28日(日)17:00~開場、17:30~開会、終演予定19:15。(17:00迄に国宝館拝観)
✤開催場所:興福寺 本坊北客殿(60畳、座布団席、90名まで)
✤チケット(国宝館団体拝観料600円を含む):奈良日仏協会会員2500円、一般参加者3500円
✤お申込み: sachiko_kita@kcn.jp tel:090-5153-2630(喜多)      
お申込み後、興福寺より振込用紙が郵送されますので、それに従ってお支払いください。(会員枠は15名で先着順の受付。15名を超えた場合は一般の申込みとなり、直接興福寺へ申込んで頂くことになります。興福寺へは電話で申込んでください。tel:0742-22-7755)。                    
✤演奏者からのメッセージ:
今年10月、興福寺の中金堂が300年振りに再建され甦えるのに因んで、300年前にフランスのヴェルサイユ宮殿で響いたであろう音楽を、古都奈良の興福寺本坊に於いて演奏致します。当日は、いずれもルイ14 世の宮廷音楽家として活躍していた、フルート奏者のオットテール(1674~1763)、テオルブ奏者のドゥ・ヴィゼー(1650?~1725?)、管楽器奏者のフィリドール(1681~1728)、そしてフランス映画にも成ったヴィオール奏者のマレ(1656~1728)等の器楽作品を取り上げます。演奏を担当するSAKAMOTO古楽アンサンブルは1993年にファミリー3 人で結成された合奏団です。ファミリーならではの、息の合った演奏をお聴き頂きたいと思います。

✤演奏者プロフィール
坂本洋子(リコーダー)
大阪音楽大学作曲学科楽理(現音楽学)専攻卒業。リコーダーを藤田隆、神谷徹の各氏に師事。第1回日本リコーダー・コンクール・アンサンブル部門で最優秀賞受賞。その後『ダンスリー・ルネサンス合奏団』に入団し、管楽器奏者として日仏両国で演奏活動を行う。またベルギーのアントワープ王立音楽院に留学し、リコーダーをB・デーレンベルク氏に師事。現在 コンサート活動のほか、リコーダー教室を主宰している。SAKAMOTO古楽コンソート及びオルティス・コンソートメンバー。

坂本利文(ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
東京尚美音楽院卒業。その後『ダンスリー・ルネサンス合奏団』に入団し日仏両国で演奏活動を行う。また、ベルギーのブリュッセル王立音楽院に留学しガンバをW・クイケン氏に師事。1986年から89年までスウェーデン国立古楽合奏団に所属し、北欧を中心に演奏活動を行う。1990年に、ガンバアンサンブルを中心とした『オルティス・コンソート』を創設、28回の定期演奏会を含む演奏活動を継続中。1983年から大阪音楽大学及び相愛大学音楽学部で非常勤講師を、また2006年から同志社女子大学で嘱託講師を務め、ヴィオラ・ダ・ガンバ及び古楽合奏の指導を行う。現在オルティス・コンソート主宰。

坂本龍右(テオルブ)
東京大学文学部(美術芸術学専攻)卒業後、スイスのバーゼル・スコラ・カントルムにて
リュート属の楽器をホプキンソン・スミス氏に師事。2011年に優秀賞付きで修士課程を修了。2013年にイタリアのラクィラで行われた国際古楽コンクールにて第1位、及び聴衆賞を受賞。現在スイスを拠点に日欧で演奏活動を行い、数多くの古楽祭にソリスト及びアンサンブルとして出演する。録音も自身のソロCD2枚の他、多数のアンサンブルに参加している。

第1回美術クラブ鑑賞会「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」

3月の美術クラブ発足記念「ゴッホ展」鑑賞会(京都国立近代美術館)に引き続き、いよいよ第1回美術クラブ鑑賞会が始動します。今回は、プーシキン美術館所蔵になるフランス風景画、ロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、モネ、ルソーらの作品を鑑賞します。

✤日時:9月16日(日) 13:30~17:00  
✤会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
✤集合時間・場所:13:30に、美術館地下1階エスカレーター後ろの休憩スペースに集合。
✤会費:なし。入場券は各自購入のこと。   
✤事前講習「鑑賞のツボ」終了後、各自自由に鑑賞。
✤カフェタイム:15:00~美術館内カフェか、近隣のカフェにて。感想・意見交換会となります。各自精算のこと
✤定員:最少催行人数5名より。 
✤問合せと申込先: sugitani@kcn.jp  tel:090-6322-0672(杉谷)

南城さんからのメッセージ
ロシアのプーシキン美術館の珠玉のコレクションから、フランス風景画65点を展観します。注目は印象派誕生の兆しがうかがえる名作、モネの「草上の昼食」。まず準備会で「鑑賞のツボ」を押さえ、そして「鑑賞会」へ。風景画誕生の軌跡やジャポニスムを振り返り、フランス美術を堪能しましょう。「カフェタイム」では、会員たちの専門分野の垣根を越えた感想会を楽しみましょう!

鑑賞のツボ(一口メモ):美術ファンに人気の高い風景画ですが、実はフランス美術において、風景画のジャンルが登場するのは近代に入ってから。それまでは、美術アカデミーで推奨された神話や歴史画の背景として、主役を引き立てる、いわゆる脇役に過ぎないものでした。「手段」から「主題」へ。この「風景画の誕生」をまず鑑賞のツボに置きましょう。