最新情報

第139回 フランス・アラカルト「奈良県十津川村で働くジョラン・フェレリさんを迎えて」

✤日時:2018年5月27日(日)13:00~15:00
✤会場:奈良市法蓮町の会員宅(近鉄奈良駅から北へ徒歩10分)
✤会費:会員1500円 一般2000円
 (宇陀市室生のシャボールさん夫妻による「ガレット」+飲み物・果物の昼食付)
✤定員:20名(要予約)
✤問合せと申込先:Nasai206@gmail.com

✤ゲスト: ジョラン・フェレリ (Jolan Ferreri) さん
Né à Grenoble en 1992, d’une mère bretonne et d’un père italien, j’ai vécu toute ma vie en Rhône-Alpes. Bien que mes études m’aient poussé à étudier à Lyon, je reste un campagnard dans l’âme. Je suis arrivé au Japon il y a plus de 3 ans maintenant et compte m’installer pour un long moment. Arrivé ici pour faire mon master dans une université Japonaise, je travaille désormais pour la mairie du village de Tostukawa.
ブルターニュ生まれの母とイタリア人の父のもと、1992年に生まれて以来、ずっとローヌ・アルプ地方で育ちました。リヨンで学ぶことになりましたが心は故郷に置いたままです。日本に来てもう3年と少し経ちます。長く住み続けるつもりです。日本の大学で修士号を取得するために来ましたが、今は十津川村の役所で働いています。

✤ゲストからのメッセージ:
C’est un plaisir pour moi de venir à cette assemblée franco-japonaise. Lors de ma visite, j’espère que nous pourrons discuter brièvement de mon parcours au Japon, mais surtout du travail que je fais ici dans le département forestier de mon village. Ce sera une bonne occasion de comparer nos forêts en france et au japon.
奈良日仏協会の催しに参加できることを嬉しく思っています。皆さんと一緒にお話ししたいことは、日本でのいろんな体験についてですが、とくに十津川村の農林課で現在取り組んでいる仕事をお話ししたいと思っております。フランスの森と日本の森の比較を考える良い機会になればと願っております。

『サムライ』 Le Samouraï

第47回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
47ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2018年6月24 日(日) 13:30~17:00
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室(予定)
◇プログラム 『サムライ』(Le Samouraï、1967年、105分)
◇参加費  奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円
◇飲み会  例会終了後「味楽座」にて
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

(スタッフ)
監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
撮影監督  アンリ・ドカ Henri Decae
美 術  フランソワ・ド・ラモット François de Lamothe
編 集  モニーク・ボノ Monique Bonnot
音 楽  フランソワ・ド・ルーベ François de Roubaix

(キャスト)
ジェフ・コステロ アラン・ドロン Alain Delon
警視 フランソワ・ペリエ François Périer
ジャンヌ ナタリー・ドロン Nathalie Delon
ヴァレリー カティ・ロジェ Caty Rosier

 『パリの灯は遠く』、『仁義』に引き続くアラン・ドロン特集第三弾。『仁義』と同じメルヴィル監督作品です。冒頭、延々とセリフなしのシーンが続きます。初めてセリフが出てくるのが、殺し屋ジェフ・コステロ(アラン・ドロン)が恋人ジャンヌ(ナタリー・ドロン)にアリバイの依頼をする場面で、約10分後。フランス映画と言えば、言葉が洪水のように出てきたり(昨年シネクラブで見たサッシャ・ギトリはその最たるもの)、詩的な言葉が歌うように語られたり(『天井桟敷の人々』など)するものと思っていましたが、言葉の少なさに驚きます。解説の中条省平によれば、メルヴィル監督がアラン・ドロンに出演依頼した時、セリフが少ないのと、タイトルが気に入って受けたということです。
 この映画の魅力は、無駄な言葉を削ぎ落し、主人公の動きを見せるだけで物語を語っているところにあります。ジェフの立ち居振る舞い、顔の表情、眼の動きをひたすらカメラが追いかけます。プロの殺し屋にふさわしい簡素な居室、小鳥を唯一の友とし、女性に対してもクールな態度を崩しません。トレンチコートにソフトを被り、街路の左右に目を配りながら足早に歩く姿は、プロの殺し屋の一種の美学と言えましょう。
 フィルム・ノワールならではの魅力は、残酷非情な人間関係で、金銭でやり取りされる関係には裏切りが付きものです。もう一つは、サスペンス。車を盗む場面で、50以上あるキーのひとつひとつを順番に試して行くのをカメラは執拗に写し続けます。また殺人犯を目撃した人間が複数いて、その一人一人が主人公の首実検をしたり、アリバイを確かめるのに次々に証人が呼ばれ、そのたびにハラハラしてしまいます。
 また本筋から離れての見どころは、パリのメトロが追跡劇の舞台となっていることで、「シャトレ」や「ポルト・ディヴリ」など、駅構内の昔の様子が映し出されます。メトロ構内の雰囲気は今と変わっていませんが、もぎりのおばさんが居たりするところは面白い。

(ストーリー)
 ジェフ・コステロはプロの殺し屋。殺人依頼を受け、周到なアリバイ工作をしたうえで、ある高級クラブに潜り込み、経営者を殺す。だが、部屋を出るところをピアノ弾きの女に目撃されてしまった。警察が大がかりな布陣で疑わしい者を次々に検挙し、片っ端から尋問し目撃者による首実検にかけていくなか、ジェフもいったんは疑われるが、巧みなアリバイ工作が功を奏し、釈放される。ところが、ジェフが報酬を受け取るため依頼人の代理人との待合せ場所に行くと、逆に撃たれて腕に怪我を負う。そしてまた新たな殺人依頼が。一方、釈放したものの警視はジェフが犯人に違いないと睨んで、アリバイ工作を一つずつ潰しにかかるとともに、部屋に盗聴装置を仕掛け、向かいのホテルから部屋を見張らせ、そしてメトロの駅に何十人もの捜査官を配備しジェフを追跡、プロの殺し屋対警察の徹底した捜索の息詰まる戦いが展開していく。そしてジェフが新たな殺人に赴いた先は、意外な場所、意外な人物だった。

(映画裏話)
 メルヴィル監督は、前作『ギャング』を取り終えたときから、次作はアラン・ドロンで撮ることに決めていたそうで、アラン・ドロンもまた『ギャング』を見て、メルヴィルに出演させてもらえるよう願い出たということです。この『サムライ』は二人が一緒に仕事をした初めての作品で、この後、『仁義』、『リスボン特急』をアラン・ドロン主演で撮影しています。
この映画の冒頭で、『武士道』からの引用として、「サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすれば、それはジャングルの虎のそれだけだ」という言葉が映されますが、こんな言葉は『武士道』にはないそうで、メルヴィル監督の創作ということです。
 共演のナタリー・ドロンは、アラン・ドロンと1964年に結婚し、映画出演は初めてだったと言いますが、この映画がきっかけとなって、次作『個人教授』でブレーク。しかし、女優業を続けたいナタリーと、それを嫌がるアランとの間の溝が深まり、二人は1969年離婚しています。
 二人が知り合ったきっかけは、アラン・ドロンのボディガードだったマルコヴィッチの紹介ということですが、彼はナタリーの愛人でもあったらしい。そのマルコヴィッチが1968年に殺され、アラン・ドロンは殺人容疑者として取り調べを受けています。が結局真犯人は見つからないまま迷宮入り。映画を地で行くような話ではありませんか。 (杉谷健治)

第138回フランス・アラカルト「宝塚歌劇とフランス」

✤日時:2018年3月8日(木)15:00~17:00  
✤会費:会員500円、一般1000円 
✤会場:奈良市西部公民館4階第2会議室
✤問い合わせと申込先: Nasai206@gmail.com tel : 090-8538-2300(浅井)

✤講師:薮下哲司(やぶした てつじ)さん
(講師紹介)映画、演劇評論家(元スポーツニッポン新聞文化部特別委員)。甲南女子大学非常勤講師。毎日文化センター「宝塚歌劇講座」講師。「宝塚イズム」(青弓社刊)編集主幹。日本映画ペンクラブ会員。著書に「宝塚伝説」「宝塚歌劇支局」などがある。

✤藪下さんからのメッセージ:
宝塚レビューの第一作「モン・パリ」の昔から宝塚歌劇とフランスは切っても切れない関係があります。宝塚史上最大のヒット作もフランス革命を背景にマリー・アントワネットの生涯を描いた「ベルサイユのばら」です。「ベルばら」のヒット以降、フランス革命前後の時代を描いた作品は数多く、いまやフランス革命のことはフランス人よりも宝塚ファンの方が詳しいのではないかというほど。シャンソンを最初に日本に広く紹介したのも宝塚歌劇です。そんな宝塚歌劇とフランスの親密な関係を、DVDによる映像資料も含めて、さまざまな作品を通して紹介します。

「ゴッホ展」鑑賞会

奈良日仏協会では日仏友好160周年記念の今年度、新たに「美術クラブ」を立ち上げ、美術展覧会の鑑賞会を定期的に開催する予定です。今年の大きなテーマは「ジャポニスムとフランス美術」。「美術クラブ」の活動の序章として、京都国立近代美術館で開催中の「ゴッホ展」鑑賞会を行います。

◇日時:3月2日(金)午後2時~5時
◇場所:京都国立近代美術館 入口玄関前に午後2時集合
◇参加費:美術館の入館料とカフェタイムの飲食代参加者負担
◇問い合わせと申込先: Nasai206@gmail.com  tel : 090-8538-2300(浅井)
◇内容:はじめに南城理事(絹谷幸二天空美術館顧問)から「鑑賞のツボ」を聴き、美術館内では個々自由に鑑賞。その後の「カフェタイム」では、参加者同士で感想や意見の交換をします。
◇南城理事からのメッセージ:
 ジャポニスム(日本趣味)に心酔し日本に憧れた激情の画家ゴッホは、印象主義から進展した強烈な色彩と激しい筆遣いで、20世紀美術に多大なる影響を与えました。悲劇的な人生であったゴッホですが、描かれた作品群は生命の輝きに満ち、怒りや悲しみを越えたところにある、生きることへの夢と希望、そして愛することの喜びを教えてくれるかのようです。
 本展には歌川広重や渓斎英泉などの浮世絵版画の模写も出品され、当時のジャポニスム・ブームを垣間見ることができます。事前に「鑑賞のツボ」を押さえておくことは作品との対話をより深めるキーポイントとなります。作品が生み出された時代背景や画家たちの境涯などもその一つ。さらに画材や技術などの知識があれば制作の追体験をうかがうこともできるでしょう。奈良日仏協会会員には、音楽や文学、料理などの専門家が多数おられます。それぞれの垣根を越えた美術や藝術の意見交換は、鑑賞後の大きな愉しみになるのではと期待されます。そして夢はフランス美術探訪の実現です。美術・藝術に満ち溢れた、最も贅沢な心の時間を皆さんとともに生み出していきましょう。

『仁義』 Le Cercle rouge  

「第46回 奈良日仏協会シネクラブ例会」の案内
46ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2018年2月25 日(日) 13:30~17:00
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室
◇プログラム 『仁義』(Le Cercle rouge, 1970年, 140分)
◇参加 費 奈良日仏協会会員・学生:無料  一般:300円
◇飲み会 例会終了後「味楽座」にて
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

スタッフ
監督 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
製作 ロベール・ドルフマン Robert Dorfmann
音楽 エリック・ドマルサン Éric Demarsan
撮影 アンリ・ドカエ Henri Decaë

キャスト
コレー   アラン・ドロン Alain Delon
ジャンセン   イヴ・モンタン Yves Montand
ヴォーゲル   ジャン・マリア・ヴォロンテ Gian Maria Volonté
マッテイ警部   ブールヴィル Bourvil
サンティ   フランソワ・ペリエ François Périer
リコ   アンドレ・エキナン André Ekyan

 前回の『パリの灯は遠く』の例会では参加者のみなさんが次から次と発言、「シネクラブ」の醍醐味を味わうことができました。自分でも自分の行動を説明できないような複雑な人間存在をアラン・ドロンが演じたことで、観る者はいっそう引きこまれたように思います。2月の例会では、俳優アラン・ドロンのまた異なる魅力を引き出しているジャン=ピエール・メルヴィルの監督作品をとりあげます。
 メルヴィルは昨年2017年生誕100周年を迎え、フランスでも日本でも特集上映会が開催されました。彼の作品にみなぎる独特の緊張感、画面構成、凝縮された台詞、人間の心の闇と愛に肉迫するドラマの演出等々には、尽きせぬ魅力があります。とくに『仁義』の絵画を思わせるような画面には、思わず息をのんで見入ってしまいます。ベースとなるブルーブラックの色調に黒が深みを加え、時折あらわれる明るい緑や白も印象的です。
 アラン・ドロンは『サムライ』『仁義』『リスボン特急』の三作のメルヴィル作品に出演し、メルヴィルの美学を確実に理解し体現しています。スター俳優であるにもかかわらず静かな抑制のきいた演技で、ブールヴィル、イヴ・モンタン、ヴォロンテら共演俳優たちの個性を光らせています。『仁義』はフランスで433万人以上の大ヒットを記録し、商業的にも芸術的にも成功をおさめたまぎれもない傑作です。

 映画の原題はLe Cercle rouge「赤い輪」。「人はそれと知らずに必ずめぐり会う。たとえ互いの身に何が起こり、どのような道をたどろうとも、必ず赤い輪のなかで結びあう」(ラーマ・クリシュナ)の言葉が、映画の冒頭で紹介されます。日本語で、恋人同士の運命的な出会いを「赤い糸で結ばれている」と言うことがありますが、この映画に登場するのは「いわくつきの男」ばかり、彼らの宿命的な出会いと行動の物語です。
 ヴォーゲル(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、列車護送中にマテイ警部(ブールヴィル)の監視をふりきって逃走、その途中で刑務所から出所したばかりのコレー(アラン・ドロン)の運転する車のトランクの中にしのびこみます。警察に追われるヴォーゲルをかくまうコレー、昔のヤクザ仲間から追われるコレーを助けるヴォーゲル、ふたりの間にクールな友情のようなものが生まれ、さらに元警察官のジャンセン(イヴ・モンタン)を仲間に加えて、彼ら3人はパリの宝石店の強盗を決行します。マテイ警部は彼らを捕まえるために、卑劣な策略をめぐらせて、ナイトクラブを営むサンティ(フランソワ・ペリエ)に情報提供させます。
 人物たちの間で交わされるのは説明抜きの短い言葉のみ、彼らの表情や仕草や行動によって話が展開していきます。「追われる者」と「追いつめる者」の闘いに加えて、人物間の駆け引き・共感・裏切りや、ひとりの人間としての決断など、随所で観る者に考えさせ、余韻が残る作品となっています。

第137回 フランス・アラカルト「特別篇:ワインパーティ」

✤日時:2017年12 月7日(木)15:00~17:00
(参加申込者は、当日14:50までに会場にお越しください)
✤会場:喫茶Pal(生駒市北新町11-8 tel. 0743-74-4255) 
✤会費:会員2500円 一般3500円
✤定員:20名(要予約)
✤問い合わせと申込先:tetsu11-kyo13@docomo.ne.jp tel. 090-1593-3738(高松)

✤早いもので、もう忘年会の案内が来るような時期になりました。というわけで、「フランス・アラカルト」年末バージョン特別篇、ワイン・パーティへのお誘いです。今回は、かた苦しい話は抜きにして、ワインの栓を抜き、ワインをテーマにして遊ぼうという趣向。全員参加で、ラベルを隠したワインを試飲してどんなワインか当てっこしたり、ワインに関するクイズ勝ち抜き戦、「思い出のワイン」にまつわる体験の告白などして、みんなで楽しいひとときを過ごしましょう。

「大神神社散策」と「利き酒体験」 (2017年)

◆「勉強会」
✤講師:Pierre Régnier さん
✤日時:2017年9月16日(土)14:30~16:30  
✤会場:奈良市西部公民館5階第4講座室
✤参加費:会員1000円、一般1500円(当日資料代含む)
✤内容:参加者は各自フランスの好きな所やフランス語を勉強している理由等を、簡単なフランス語で話す練習をします。勉強会後、レニエ先生が添削してくださいます。

◆「大神神社散策」と「利き酒体験」
✤講師:Pierre Régnier さん
✤日時:2017年10月14日(土)JR 三輪駅(桜井線)に14:00集合、同駅17:00解散。その後、有志にて飲み会。
✤参加費:会員1000円、一般1500円(今西酒造での利き酒体験料含む)
✤申込先:Nasai206@gmail.com (浅井)

『パリの灯は遠く』 Monsieur Klein

お知らせ
10月22日(日)に開催予定でした「第45回奈良日仏協会シネクラブ例会」は、
11月26日(日)に変更になりました。皆さまの参加をお待ちしております。

「第45回 奈良日仏協会シネクラブ例会」の案内
45ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時    2017年11月26 日(日) 13:30~17:00
◇会場    奈良市西部公民館5階第4講座室
◇プログラム 『パリの灯は遠く』(Monsieur Klein, 1976年, 122分)
◇参加 費 奈良日仏協会会員・学生:無料  一般:300円
◇飲み会 例会終了後「味楽座」にて
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問 い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

(スタッフ)

監督 ジョセフ・ロージー Joseph Losey

脚本 フランコ・ソリナス Franco Solinas

   フェルナンド・モランディ Fernando Morandi

撮影 ジェリー・フィッシャー Gerry Fisher

音楽 エジスト・マッキ Egisto Macchi

   ピエール・ポルト Pierre Porte

(キャスト)

ロベール・クライン     アラン・ドロン Alain Delon

フロランス             ジャンヌ・モロー Jeanne Moreau

管理人                 シュザンヌ・フロン Suzanne Flon

ジャンニー             ジュリエット・ベルト Juliet Bert

ピエール               ミシェル・ロンズデール Michael Lonsdale

ニコル(ピエールの妻) フランシーヌ・ベルジェ Francine Berge

(ストーリー)

1942年1月、パリはドイツの占領下にあり、対独協力のヴィシー政府はユダヤ人排除の法律をつぎつぎと成立させていました。映画の冒頭、医師による非人道的な人種選別の場面に私たちは衝撃を受けます。多くのユダヤ人は国外へ逃れようとしていました。主人公のフランス人美術商ロベール・クライン(アラン・ドロン)は、贅沢で放縦な生活をしています。それというのも彼のもとへは、ユダヤ人たちが所蔵する美術品を換金するためつぎつぎと訪れ、彼は客の足元を見て安値で買い取り儲けているからです。

ある日彼は玄関に不審な刊行物が置かれているのを見つけます。それは購読を申し込んだ覚えのない「ユダヤ通信」という刊行物で、宛先は確かに彼でした。不安に襲われ調べてゆくと、彼と同姓同名のユダヤ人がいて、彼を身代わりにして自分は姿を消し、危難を免れようとしていることが分かってきます。彼の家には早くも刑事がやってきました。街にはユダヤ人の一斉検挙が近い動きが見られます。一刻も早く同名のユダヤ人を見つけて、自分の安全とアイデンティティを守らねばなりません。彼の必死の奔走が始まります…。

(ジョセフ・ロージー監督とこの作品について)

ジョセフ・ロージーはアメリカ・ウィスコンシン州生まれで、1943年にMGMと監督の契約を結びますが戦争のため中断、48年、はじめての長編で、反戦を訴えた『緑色の髪の少年』を発表しました。その後いくつかの作品を発表しますが、彼の左翼思想に対する非米活動委員会の追及を免れるため、51年イギリスに亡命しました。イギリスでも当初は本名での活動はできず、四つの偽名を使って作品を発表しています。57年から再び本名で作品を発表しましたが、この頃から彼の評価が、特にフランス、ヌーヴェルヴァーグの人たちの間で高まり、フランスで撮った「エヴァの匂い」(62)や、イギリスで撮ったハロルド・ピンター脚本の「召使」(63)で彼の評価が確立しました。その後拠点をフランスに移し、スターを用いた大作を発表してゆきます。アラン・ドロン主演の「暗殺者のメロディー」(72)がその第一作で、1940年のトロツキー暗殺事件を描いています。この「パリの灯は遠く」(76) はドロン主演第二作で、ドロンのキャラクターの一面をよく捉えています。理由が分からずに逮捕される銀行支配人フランツ・Kを描いたカフカの小説[『審判』(1915) を思わせるものがあり(主人公の頭文字が同じなのは偶然?)、ロージー監督の特色である不条理と暴力そしてサスペンスに溢れた、反ファシズム映画の傑作であると思います。