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第1回美術クラブ鑑賞会「プーシキン美術館展―旅するフランス風景画」

3月の美術クラブ発足記念「ゴッホ展」鑑賞会(京都国立近代美術館)に引き続き、いよいよ第1回美術クラブ鑑賞会が始動します。今回は、プーシキン美術館所蔵になるフランス風景画、ロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、モネ、ルソーらの作品を鑑賞します。

✤日時:9月16日(日) 13:30~17:00  
✤会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
✤集合時間・場所:13:30に、美術館地下1階エスカレーター後ろの休憩スペースに集合。
✤会費:なし。入場券は各自購入のこと。   
✤事前講習「鑑賞のツボ」終了後、各自自由に鑑賞。
✤カフェタイム:15:00~美術館内カフェか、近隣のカフェにて。感想・意見交換会となります。各自精算のこと
✤定員:最少催行人数5名より。 
✤問合せと申込先: sugitani@kcn.jp  tel:090-6322-0672(杉谷)

南城さんからのメッセージ
ロシアのプーシキン美術館の珠玉のコレクションから、フランス風景画65点を展観します。注目は印象派誕生の兆しがうかがえる名作、モネの「草上の昼食」。まず準備会で「鑑賞のツボ」を押さえ、そして「鑑賞会」へ。風景画誕生の軌跡やジャポニスムを振り返り、フランス美術を堪能しましょう。「カフェタイム」では、会員たちの専門分野の垣根を越えた感想会を楽しみましょう!

鑑賞のツボ(一口メモ):美術ファンに人気の高い風景画ですが、実はフランス美術において、風景画のジャンルが登場するのは近代に入ってから。それまでは、美術アカデミーで推奨された神話や歴史画の背景として、主役を引き立てる、いわゆる脇役に過ぎないものでした。「手段」から「主題」へ。この「風景画の誕生」をまず鑑賞のツボに置きましょう。

第141回 フランス・アラカルト「登大路ホテル奈良『ル・ボア』のランチとフランス料理の達人の話を楽しむ会」

元大阪ロイヤルホテル総料理長の米津春日さんと教え子の登大路ホテル奈良総料理長仙石耕一さんの二人の料理の達人のお話を聞き、フランス料理についての造詣を深めながら、ランチを楽しんでいただきます。

✤日時:9月13日(木) 12:30~15:00
✤会場:登大路ホテル奈良「ル・ボア」(近鉄奈良駅より東へ徒歩3分)
✤会費:5000円(飲み物は各自別負担となります)    
✤定員:12名(要予約) 8月20日までの申し込み、満席になり次第締め切り。
✤問合せと申込先: Nasai206@gmail.com (浅井)

米津春日さんからのメッセージ
奈良日仏協会主催の食事会に、出席できることは誠に嬉しく、楽しみにしております。美味しいものを頂くとき、自然と顔はほころび、心は豊かになります。先日、仙石シェフに会いましたら、あれこれメニューを考えている様でした。皆様に楽しんで頂けるよう願って居ります。Bon Appétit !

米津春日(よねづ はるび)さん略歴
リーガロイヤルホテル料理特別顧問。奈良日仏協会会員。1930年9月横浜の馬車道、風月堂の嫡男として生まれる。45年銀座資生堂にいた柴田十太郎師について西洋料理をはじめる。46年銀座風月堂に入社し、和菓子の仕事を手伝う。58年新大阪ホテルに入社。大阪グランドホテルの常原久弥師のもとで仕事を始める。65年常原師とともにロイヤルホテルへ。83年取締役に就任。90年より総料理長委嘱。96年専務取締役。98年料理特別顧問就任。81年フランス製菓連合会より金賞受賞。86年フランス・ランス市商工会議所より功労賞受賞。96年労働大臣表彰「現代の名工」を受賞。97年全日本司厨士協会より卓越最高技術顧問金賞を受賞。98年黄綬褒章受章。所属協会、日本エスコフィエ協会副会長、全日本司厨士協会関西地方本部理事、フランス料理アカデミー協会会員、ラシェーヌデロティスール協会理事。

仙石耕一さんからのメッセージ
 この度は、奈良日仏協会様主催の昼食会のお料理を担当させていただける事となり、うれしく思います。登大路ホテル奈良の総料理長として2年目となります。これからも皆さまに喜んでいただける料理を作りたく、精進を続けてまいります。小さなホテルレストランです。皆さま、どうぞお気軽にお越しください。

登大路ホテル奈良 総料理長 仙石耕一さん略歴
1988年ロイヤルホテル(米津春日総料理長)に入社、レストランシャンボール勤務。2000年フランス三ツ星レストラン、ジョルジュブランで半年間、スイスのホテル、ボーリバージュで半年間の料理研修。04年大阪大学内ミネルバ、阪大病院内スカイレストランの統括シェフ。11年 長野県大町市くろよんロイヤルホテルの総料理長、その後、リーガロイヤルホテルレストラン「シャンボール」のスーシェフを経て現在に至る。

『リード・マイ・リップス』Sur mes lèvres

第48回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
48ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

聴覚障害を持つ女と監獄から出たばかりの男が形作る奇妙な男女の愛の姿。エマニュエル・ドゥヴォスとヴァンサン・カッセルという二人の名優が演じる新しいフィルム・ノワール。
当日は、ピエール・シルヴェストリさんがパリから来日して解説します。乞うご期待!

◇日時 2018年9月9 日(日) 13:00~17:00 le dimanche 9 septembre
◇会場 奈良市西部公民館4階第2会議室 Nara Seibu Kominkan,
 4-kai (3ème étage) salle 2 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム 『リード・マイ・リップス』(Sur mes lèvres、2001年、119分)
◇参加費 奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円 
 gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇飲み会 例会終了後「味楽座」にて Réunion amicale au restaurant Miraku-za
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

(スタッフ)
監督 ジャック・オディアール Jacques Audiard
脚本 トニーノ・ブナキスタ Tonino Benacquista
   ジャック・オディアール Jacques Audiard
撮影 マチュー・ヴァドゥピエ Mathieu Vadepied
音楽 アレクサンドル・デプラ Alecandre Desplat
編集 ジュリエット・ウェルフラン Juliette Welfling

(キャスト)
ポール   ヴァンサン・カッセル Vincent Cassel
カルラ   エマニュエル・ドゥヴォス Emmanuelle Devos
マルシャン オリヴィエ・グルメ Olivier Gourmet
マッソン  オリヴィエ・ペリエ Olivier Perrier

Coincée, ordinaire à tout point de vue, Carla Behm manque terriblement de charme. Malgré sa surdité, elle est employée depuis quelques années à la Sedim, une société immobilière. Là, elle effectue toutes sortes de tâches ingrates, qui plus est sous les brimades de ses collègues. Une baisse de forme lui donne le droit d’engager un stagiaire comme assistant. C’est ainsi que Paul Angeli, un ex-détenu marqué par les années de prison, entre dans sa petite existence. Sans réelles capacités, Paul a pour lui son étrange beauté. Surtout, il regarde Carla comme un homme regarde une femme. Un amour platonique mais profond naît entre les deux exclus…

Emmanuelle Devos dans l’enfer de la vie de bureau. On ne voit qu’elle, d’abord, en martyre de la photocopieuse, cachant ses deux prothèses auditives. Vu le talent monstre de l’actrice (récompensée d’un césar pour le rôle), cela pourrait faire un film : la secrétaire demi-sourde, bonne à tout faire dans un cabinet de promotion immobilière… Puis elle commande un stagiaire à l’ANPE, comme si elle commandait un fiancé au Père Noël. C’est Vincent Cassel, cheveux graisseux, accent populaire à tailler au couteau. Cela aussi pourrait faire un film : l’employée frustrée et le stagiaire fruste.

Or, le film, c’est encore autre chose : un polar, une histoire de magouilles, de marigot et de magot. Le scénario se révèle plutôt complexe mais le cinéaste veille à ne jamais couper les ponts avec son atout principal, ce drôle de portrait d’une fille trouble et en pleine mutation : on la découvre peu à peu capable de la même cruauté, tenaillée par le même instinct de domination que ceux qui la brimaient. En ce sens, Sur mes lèvres est un film noir original.
(Pierre Silvestri)

目だたず、これといった取り柄もないカルラ・ベームは、魅力的とはとうていいいがたい女性。耳は聴こえないが、数年前から不動産会社セディムに勤めている。会社では、つまらない仕事をし、その上同僚からはいじめを受けている。体調を崩したため、助手として研修生を雇うことになる。刑務所から出たばかりのポール・アンジェリが、彼女のとるに足りない人生にかかわってくるのは、こうしたわけである。実務的な能力はなくとも、ポールには何かしら魅力があった。ポールはカルラを一人の女として見つめる。プラトニックだが深い恋愛感情が、二人の社会のはみ出し者の間に芽生えていく。

エマニュエル・ドゥヴォス(カルラ役)は、オフィスの生き地獄にいる。はじめは、彼女は両耳に補聴器をかくしつけた犠牲的なコピー係りとしか見えない。この女優の途方もない才能が(この役でセザール賞を受賞)、この作品を映画たらしめている。耳の不自由な秘書、不動産販売代理店の何でも屋の小間使い…。つづいて彼女は職業安定所で、まるでサンタクロースに婚約者が欲しいと頼むかのように、研修生の注文をつける。その彼は、油で汚れた髪の毛をして強烈な下町なまりのヴァンサン・カッセル(ポール役)。彼の存在もまたこの作品を映画たらしめている。欲求不満の女性従業員と粗野な男性研修生の物語。

この映画にはさらにまた別の見どころがある。犯罪映画であり、闇取引、悪人たちの溜り場、隠し金の話であること。脚本はやや錯綜しているが、監督のジャック・オディアールは彼の持ち味を失わないようにしている。性格のわかりにくい奇妙な女の肖像と、そのまったき変化である。彼女が自分をいじめた人々と同じ支配の本能にさいなまれながら、同じ残虐性を持つようになることを、観客は徐々に理解する。この点で、映画『リード・マイ・リップス』はいっぷう変わったフィルム・ノワールとなっている。

第140回 フランス・アラカルト「17・18世紀のフランス・オペラ紹介」

✤日時:2018年7月21日(土)15:00~17:00  
✤会費:会員500円、一般1000円 
✤会場:奈良市西部公民館 5階視聴覚室(スリッパを持参してください)
✤問い合わせと申込先: Nasai206@gmail.com tel : 090-8538-2300(浅井)

✤講師:内藤義博(ないとう よしひろ)さん
(講師紹介)関西大学非常勤講師。主な研究分野は、18世紀フランス文学、音楽美学。
主要著書『ルソーの音楽思想』(駿河台出版社、2002年)、『ルソーとフランス・オペラ』
(ブイツーソリューション、2013年)、『フランス・オペラの美学』(水声社、2017年)。
奈良日仏協会元会員、Mon Nara 編集責任者・事務局次長等を歴任。

✤講師からのメッセージ:ワグナー、モーツァルト、ヴェルディといった、オペラファン
によく知られた作曲家たちの作品とはひと味違った17・18世紀のフランス・オペラを、
リュリやラモーを中心にして、紹介します。

第139回 フランス・アラカルト「奈良県十津川村で働くジョラン・フェレリさんを迎えて」

✤日時:2018年5月27日(日)13:00~15:00
✤会場:奈良市法蓮町の会員宅(近鉄奈良駅から北へ徒歩10分)
✤会費:会員1500円 一般2000円
 (宇陀市室生のシャボールさん夫妻による「ガレット」+飲み物・果物の昼食付)
✤定員:20名(要予約)
✤問合せと申込先:Nasai206@gmail.com

✤ゲスト: ジョラン・フェレリ (Jolan Ferreri) さん
Né à Grenoble en 1992, d’une mère bretonne et d’un père italien, j’ai vécu toute ma vie en Rhône-Alpes. Bien que mes études m’aient poussé à étudier à Lyon, je reste un campagnard dans l’âme. Je suis arrivé au Japon il y a plus de 3 ans maintenant et compte m’installer pour un long moment. Arrivé ici pour faire mon master dans une université Japonaise, je travaille désormais pour la mairie du village de Tostukawa.
ブルターニュ生まれの母とイタリア人の父のもと、1992年に生まれて以来、ずっとローヌ・アルプ地方で育ちました。リヨンで学ぶことになりましたが心は故郷に置いたままです。日本に来てもう3年と少し経ちます。長く住み続けるつもりです。日本の大学で修士号を取得するために来ましたが、今は十津川村の役所で働いています。

✤ゲストからのメッセージ:
C’est un plaisir pour moi de venir à cette assemblée franco-japonaise. Lors de ma visite, j’espère que nous pourrons discuter brièvement de mon parcours au Japon, mais surtout du travail que je fais ici dans le département forestier de mon village. Ce sera une bonne occasion de comparer nos forêts en france et au japon.
奈良日仏協会の催しに参加できることを嬉しく思っています。皆さんと一緒にお話ししたいことは、日本でのいろんな体験についてですが、とくに十津川村の農林課で現在取り組んでいる仕事をお話ししたいと思っております。フランスの森と日本の森の比較を考える良い機会になればと願っております。

『サムライ』 Le Samouraï

第47回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内
47ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2018年6月24 日(日) 13:30~17:00
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室
◇プログラム 『サムライ』(Le Samouraï、1967年、105分)
◇参加費  奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円
◇飲み会  例会終了後「味楽座」にて
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

(スタッフ)
監督・脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
撮影監督  アンリ・ドカ Henri Decae
美 術  フランソワ・ド・ラモット François de Lamothe
編 集  モニーク・ボノ Monique Bonnot
音 楽  フランソワ・ド・ルーベ François de Roubaix

(キャスト)
ジェフ・コステロ アラン・ドロン Alain Delon
警視 フランソワ・ペリエ François Périer
ジャンヌ ナタリー・ドロン Nathalie Delon
ヴァレリー カティ・ロジェ Caty Rosier

 『パリの灯は遠く』、『仁義』に引き続くアラン・ドロン特集第三弾。『仁義』と同じメルヴィル監督作品です。冒頭、延々とセリフなしのシーンが続きます。初めてセリフが出てくるのが、殺し屋ジェフ・コステロ(アラン・ドロン)が恋人ジャンヌ(ナタリー・ドロン)にアリバイの依頼をする場面で、約10分後。フランス映画と言えば、言葉が洪水のように出てきたり(昨年シネクラブで見たサッシャ・ギトリはその最たるもの)、詩的な言葉が歌うように語られたり(『天井桟敷の人々』など)するものと思っていましたが、言葉の少なさに驚きます。解説の中条省平によれば、メルヴィル監督がアラン・ドロンに出演依頼した時、セリフが少ないのと、タイトルが気に入って受けたということです。
 この映画の魅力は、無駄な言葉を削ぎ落し、主人公の動きを見せるだけで物語を語っているところにあります。ジェフの立ち居振る舞い、顔の表情、眼の動きをひたすらカメラが追いかけます。プロの殺し屋にふさわしい簡素な居室、小鳥を唯一の友とし、女性に対してもクールな態度を崩しません。トレンチコートにソフトを被り、街路の左右に目を配りながら足早に歩く姿は、プロの殺し屋の一種の美学と言えましょう。
 フィルム・ノワールならではの魅力は、残酷非情な人間関係で、金銭でやり取りされる関係には裏切りが付きものです。もう一つは、サスペンス。車を盗む場面で、50以上あるキーのひとつひとつを順番に試して行くのをカメラは執拗に写し続けます。また殺人犯を目撃した人間が複数いて、その一人一人が主人公の首実検をしたり、アリバイを確かめるのに次々に証人が呼ばれ、そのたびにハラハラしてしまいます。
 また本筋から離れての見どころは、パリのメトロが追跡劇の舞台となっていることで、「シャトレ」や「ポルト・ディヴリ」など、駅構内の昔の様子が映し出されます。メトロ構内の雰囲気は今と変わっていませんが、もぎりのおばさんが居たりするところは面白い。

(ストーリー)
 ジェフ・コステロはプロの殺し屋。殺人依頼を受け、周到なアリバイ工作をしたうえで、ある高級クラブに潜り込み、経営者を殺す。だが、部屋を出るところをピアノ弾きの女に目撃されてしまった。警察が大がかりな布陣で疑わしい者を次々に検挙し、片っ端から尋問し目撃者による首実検にかけていくなか、ジェフもいったんは疑われるが、巧みなアリバイ工作が功を奏し、釈放される。ところが、ジェフが報酬を受け取るため依頼人の代理人との待合せ場所に行くと、逆に撃たれて腕に怪我を負う。そしてまた新たな殺人依頼が。一方、釈放したものの警視はジェフが犯人に違いないと睨んで、アリバイ工作を一つずつ潰しにかかるとともに、部屋に盗聴装置を仕掛け、向かいのホテルから部屋を見張らせ、そしてメトロの駅に何十人もの捜査官を配備しジェフを追跡、プロの殺し屋対警察の徹底した捜索の息詰まる戦いが展開していく。そしてジェフが新たな殺人に赴いた先は、意外な場所、意外な人物だった。

(映画裏話)
 メルヴィル監督は、前作『ギャング』を取り終えたときから、次作はアラン・ドロンで撮ることに決めていたそうで、アラン・ドロンもまた『ギャング』を見て、メルヴィルに出演させてもらえるよう願い出たということです。この『サムライ』は二人が一緒に仕事をした初めての作品で、この後、『仁義』、『リスボン特急』をアラン・ドロン主演で撮影しています。
この映画の冒頭で、『武士道』からの引用として、「サムライの孤独ほど深いものはない。さらに深い孤独があるとすれば、それはジャングルの虎のそれだけだ」という言葉が映されますが、こんな言葉は『武士道』にはないそうで、メルヴィル監督の創作ということです。
 共演のナタリー・ドロンは、アラン・ドロンと1964年に結婚し、映画出演は初めてだったと言いますが、この映画がきっかけとなって、次作『個人教授』でブレーク。しかし、女優業を続けたいナタリーと、それを嫌がるアランとの間の溝が深まり、二人は1969年離婚しています。
 二人が知り合ったきっかけは、アラン・ドロンのボディガードだったマルコヴィッチの紹介ということですが、彼はナタリーの愛人でもあったらしい。そのマルコヴィッチが1968年に殺され、アラン・ドロンは殺人容疑者として取り調べを受けています。が結局真犯人は見つからないまま迷宮入り。映画を地で行くような話ではありませんか。 (杉谷健治)

第138回フランス・アラカルト「宝塚歌劇とフランス」

✤日時:2018年3月8日(木)15:00~17:00  
✤会費:会員500円、一般1000円 
✤会場:奈良市西部公民館4階第2会議室
✤問い合わせと申込先: Nasai206@gmail.com tel : 090-8538-2300(浅井)

✤講師:薮下哲司(やぶした てつじ)さん
(講師紹介)映画、演劇評論家(元スポーツニッポン新聞文化部特別委員)。甲南女子大学非常勤講師。毎日文化センター「宝塚歌劇講座」講師。「宝塚イズム」(青弓社刊)編集主幹。日本映画ペンクラブ会員。著書に「宝塚伝説」「宝塚歌劇支局」などがある。

✤藪下さんからのメッセージ:
宝塚レビューの第一作「モン・パリ」の昔から宝塚歌劇とフランスは切っても切れない関係があります。宝塚史上最大のヒット作もフランス革命を背景にマリー・アントワネットの生涯を描いた「ベルサイユのばら」です。「ベルばら」のヒット以降、フランス革命前後の時代を描いた作品は数多く、いまやフランス革命のことはフランス人よりも宝塚ファンの方が詳しいのではないかというほど。シャンソンを最初に日本に広く紹介したのも宝塚歌劇です。そんな宝塚歌劇とフランスの親密な関係を、DVDによる映像資料も含めて、さまざまな作品を通して紹介します。

「ゴッホ展」鑑賞会

奈良日仏協会では日仏友好160周年記念の今年度、新たに「美術クラブ」を立ち上げ、美術展覧会の鑑賞会を定期的に開催する予定です。今年の大きなテーマは「ジャポニスムとフランス美術」。「美術クラブ」の活動の序章として、京都国立近代美術館で開催中の「ゴッホ展」鑑賞会を行います。

◇日時:3月2日(金)午後2時~5時
◇場所:京都国立近代美術館 入口玄関前に午後2時集合
◇参加費:美術館の入館料とカフェタイムの飲食代参加者負担
◇問い合わせと申込先: Nasai206@gmail.com  tel : 090-8538-2300(浅井)
◇内容:はじめに南城理事(絹谷幸二天空美術館顧問)から「鑑賞のツボ」を聴き、美術館内では個々自由に鑑賞。その後の「カフェタイム」では、参加者同士で感想や意見の交換をします。
◇南城理事からのメッセージ:
 ジャポニスム(日本趣味)に心酔し日本に憧れた激情の画家ゴッホは、印象主義から進展した強烈な色彩と激しい筆遣いで、20世紀美術に多大なる影響を与えました。悲劇的な人生であったゴッホですが、描かれた作品群は生命の輝きに満ち、怒りや悲しみを越えたところにある、生きることへの夢と希望、そして愛することの喜びを教えてくれるかのようです。
 本展には歌川広重や渓斎英泉などの浮世絵版画の模写も出品され、当時のジャポニスム・ブームを垣間見ることができます。事前に「鑑賞のツボ」を押さえておくことは作品との対話をより深めるキーポイントとなります。作品が生み出された時代背景や画家たちの境涯などもその一つ。さらに画材や技術などの知識があれば制作の追体験をうかがうこともできるでしょう。奈良日仏協会会員には、音楽や文学、料理などの専門家が多数おられます。それぞれの垣根を越えた美術や藝術の意見交換は、鑑賞後の大きな愉しみになるのではと期待されます。そして夢はフランス美術探訪の実現です。美術・藝術に満ち溢れた、最も贅沢な心の時間を皆さんとともに生み出していきましょう。

『仁義』 Le Cercle rouge  

「第46回 奈良日仏協会シネクラブ例会」の案内
46ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2018年2月25 日(日) 13:30~17:00
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室
◇プログラム 『仁義』(Le Cercle rouge, 1970年, 140分)
◇参加 費 奈良日仏協会会員・学生:無料  一般:300円
◇飲み会 例会終了後「味楽座」にて
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

スタッフ
監督 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
脚本 ジャン=ピエール・メルヴィル Jean-Pierre Melville
製作 ロベール・ドルフマン Robert Dorfmann
音楽 エリック・ドマルサン Éric Demarsan
撮影 アンリ・ドカエ Henri Decaë

キャスト
コレー   アラン・ドロン Alain Delon
ジャンセン   イヴ・モンタン Yves Montand
ヴォーゲル   ジャン・マリア・ヴォロンテ Gian Maria Volonté
マッテイ警部   ブールヴィル Bourvil
サンティ   フランソワ・ペリエ François Périer
リコ   アンドレ・エキナン André Ekyan

 前回の『パリの灯は遠く』の例会では参加者のみなさんが次から次と発言、「シネクラブ」の醍醐味を味わうことができました。自分でも自分の行動を説明できないような複雑な人間存在をアラン・ドロンが演じたことで、観る者はいっそう引きこまれたように思います。2月の例会では、俳優アラン・ドロンのまた異なる魅力を引き出しているジャン=ピエール・メルヴィルの監督作品をとりあげます。
 メルヴィルは昨年2017年生誕100周年を迎え、フランスでも日本でも特集上映会が開催されました。彼の作品にみなぎる独特の緊張感、画面構成、凝縮された台詞、人間の心の闇と愛に肉迫するドラマの演出等々には、尽きせぬ魅力があります。とくに『仁義』の絵画を思わせるような画面には、思わず息をのんで見入ってしまいます。ベースとなるブルーブラックの色調に黒が深みを加え、時折あらわれる明るい緑や白も印象的です。
 アラン・ドロンは『サムライ』『仁義』『リスボン特急』の三作のメルヴィル作品に出演し、メルヴィルの美学を確実に理解し体現しています。スター俳優であるにもかかわらず静かな抑制のきいた演技で、ブールヴィル、イヴ・モンタン、ヴォロンテら共演俳優たちの個性を光らせています。『仁義』はフランスで433万人以上の大ヒットを記録し、商業的にも芸術的にも成功をおさめたまぎれもない傑作です。

 映画の原題はLe Cercle rouge「赤い輪」。「人はそれと知らずに必ずめぐり会う。たとえ互いの身に何が起こり、どのような道をたどろうとも、必ず赤い輪のなかで結びあう」(ラーマ・クリシュナ)の言葉が、映画の冒頭で紹介されます。日本語で、恋人同士の運命的な出会いを「赤い糸で結ばれている」と言うことがありますが、この映画に登場するのは「いわくつきの男」ばかり、彼らの宿命的な出会いと行動の物語です。
 ヴォーゲル(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、列車護送中にマテイ警部(ブールヴィル)の監視をふりきって逃走、その途中で刑務所から出所したばかりのコレー(アラン・ドロン)の運転する車のトランクの中にしのびこみます。警察に追われるヴォーゲルをかくまうコレー、昔のヤクザ仲間から追われるコレーを助けるヴォーゲル、ふたりの間にクールな友情のようなものが生まれ、さらに元警察官のジャンセン(イヴ・モンタン)を仲間に加えて、彼ら3人はパリの宝石店の強盗を決行します。マテイ警部は彼らを捕まえるために、卑劣な策略をめぐらせて、ナイトクラブを営むサンティ(フランソワ・ペリエ)に情報提供させます。
 人物たちの間で交わされるのは説明抜きの短い言葉のみ、彼らの表情や仕草や行動によって話が展開していきます。「追われる者」と「追いつめる者」の闘いに加えて、人物間の駆け引き・共感・裏切りや、ひとりの人間としての決断など、随所で観る者に考えさせ、余韻が残る作品となっています。