第148回フランス・アラカルト「アルザス、仏独の狭間に輝く特異な地域」
第148回フランス・アラカルト「アルザス、仏独の狭間に輝く特異な地域」
若き日にストラスブールに2年間留学され、その後も何度か訪れているという会員の濱惠介さんから、思い出話をまじえながら、アルザス地方の歴史と文化について、語っていただきます。
★日時: 10月9日(土)15:00~16:45
★場所: 生駒セイセイビル4階 401会議室
★講師: 濱惠介
★参加費: 会員500円、一般1000円
★問合わせと申込先: sugitani@kcn.jp TEL 090-6322-0672(杉谷)
★講師からのメッセージ:
アルザスはフランス北東端に位置し、ライン川をはさんでドイツと接しています。様々な民族が移り住み、多くの戦乱もあったようです。中世以降17世紀半ばまでドイツ文化圏とほぼ重なる神聖ローマ帝国の一部でした。三十年戦争(1618~48)の結果、フランス王国がアルザスの大部分を獲得し、フランス化が始まります。しかし、フランス語は公文書や学校で学ぶ言語にとどまったらしく、住民が日常用いる言葉はドイツ語の方言でした。1871年、第二帝政のフランスは新興国プロイセンとの戦争に敗れ、アルザスを失います。それから第一次世界大戦が終わるまで約半世紀の間、ドイツ帝国領となりドイツ流の近代化が進められ、公用語は標準ドイツ語でした。1919年のヴェルサイユ条約でフランスに復帰しますが、第二次世界大戦の際はナチスドイツの占領を受けています。
アルザスの首都はストラスブール。中心部全体がユネスコの世界文化遺産に登録されているほど華麗で歴史ある街です。ここにはブリュッセルと並んで欧州議会が置かれ、独仏和解と欧州統合を象徴する都市とされています。地図の上でも、アルザスとストラスブールはヨーロッパの中央に位置しているかのように見えます。
残念ながらAlsaceという公式な地域圏名は最近なくなりました。2016年の政令により、ロレーヌ、シャンパーニュ・アルデンヌと一緒になって、現在はグランテスト(Grand-Est)というより大きな地域圏の一部となっています。
私は1971年の秋から約2年間、給費留学生の身分でストラスブールに暮らしました。当時の思い出の数々は、私にとって人生の宝物です。初めての渡仏から今年はちょうど50年。今度のフランス・アラカルトでは、この特異な地域の歴史や地理、独特な文化などについて、私なりの理解と思い入れを語りたいと思います。