『落穂拾い』Les Glaneurs et la glaneuse
第57回 奈良日仏シネクラブ例会
57ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara
◇日時:2022年7月31日(日)14:00~17:00 le dimanche 31 juillet 2022
開始時間がいつもより30分遅いのでご注意ください。
◇会場:奈良市西部公民館4階第1・第2会議室
Nara Seibu Kominkan 4-kai (3er étage) salle 1, 2 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム:『落穂拾い』Les Glaneurs et la glaneuse, 2000, 82min.
◇監督:アニエス・ヴァルダ Agnès Varda
◇参加費:会員200円、一般300円
200 yens pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇問合わせ:Nasai206@gmail.com tel. 090-8538-2300(予約不要)
◇監督アニエス・ヴァルダ Agnès Varda (1928~2019):ベルギー生まれ。ギリシャ人の父とフランス人の母を持つ。第2次大戦中、戦火を逃れて南仏セートに家族で疎開。ソルボンヌ大学で文学と心理学、ルーブル学院で美術史、写真映画学校で写真を学ぶ。はじめは写真家として活動するが1954年、映画『ラ・ポワント・クールト』を26歳で自主製作、ヌーヴェルヴァーグに先立つ先駆的な作品として評価される。1962年、のちに『シェルブールの雨傘』の監督で知られるジャック・ドゥミと結婚。子育てしながら精力的に映画を撮り続け、数々の賞を受賞する。2019年2月、60年以上に及ぶ自らの創作を語った『アニエスによるヴァルダ』を携えてベルリン国際映画祭に出席。その直後の3月にパリの自宅で息を引き取る。享年90歳10カ月。
≪映画紹介≫
今から22年前、2000年に公開された作品だが、今日見ても啓発される。オルセー美術館のミレーの絵画『落穂拾い』に描かれた女性たちの、腰をかがめて「拾うglaner」姿勢からヴァルダの連想が広がり、小型カメラを携えて旅に出る。今なお落穂拾いをする人々、機械化された麦やジャガイモの収穫と規格外の作物が廃棄される現実、ブルゴーニュのブドウ畑に摘み残しをとりにくる人、ヴァンデ地方ノワールムーティエの養殖牡蠣の取り残しを持ち帰る人、パリの市場で捨てられた野菜を拾って食べる人、拾ったものを生かして芸術創造をする人、ボランティアで移民にフランス語を教える人…。フランス社会の様々な人々の存在や生き方が映し出される。その過程で、ヴァルダ自身「採集」が自らの存在や芸術創造のあり方の認識を深める契機となっていることに気づく。とりわけ、ミレーの『落穂拾い』に続いて、アラス美術館のジュール・ブルトン『落穂拾いの女』、ボーヌの施療院のファン・デル・ウェイデン『最後の審判』、日本の百貨店の美術展のレンブラントの自画像、ヴィルフランシュ・シュル・ソーヌの美術館のエドワン『嵐を避ける落穂拾い』等、各地での絵画との出会いが、彼女に啓示をもたらしている。