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『ルージュの手紙』 Sage femme

第50回 奈良日仏協会シネクラブ例会の案内 
50ème séance du ciné-club de l’Association Franco-Japonaise de Nara

◇日時 2019年2月24 日(日) 13:30~17:00 le dimanche 24 février
◇会場 奈良市西部公民館5階第4講座室
 Nara Seibu Kominkan, 5-kai (4ème étage) salle 4 (près de la gare Kintetsu Gakuenmae)
◇プログラム 『ルージュの手紙』(Sage femme, 2017年, 117分)
◇監督 マルタン・プロヴォ Martin Provost
◇参加費  奈良日仏協会会員・学生:無料、一般:300円
gratuit pour membres et étudiants, 300 yens pour non-membre
◇飲み会  例会終了後「味楽座」にて
Réunion amicale au restaurant Miraku-za
◇例会・飲み会とも予約不要
◇問い合わせ 浅井直子 Nasai206@gmail.com

≪スタッフ≫ Fiche technique
監 督  マルタン・プロボ
脚 色  マルタン・プロボ
撮 影  イブ・カペ
美 術  ティエリー・フランソワ
衣 裳  バテシバ・ドレフュス
音 楽  グレゴワール・エッツェル
編 集  アルベルティーヌ・ラステラ
製 作  オリビエ・デルボス
製作総指揮  クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル

≪キャスト≫ Distribution
クレール    カトリーヌ・フロ
ベアトリス   カトリーヌ・ドヌーブ
ポール     オリビエ・グルメ
シモン     カンタン・ドルメール
ロランド    ミレーヌ・ドモンジョ
病棟主任    オドレイ・ダナ
セシール    ポーリーヌ・エチエンヌ

≪映画紹介≫
 主人公クレール(カトリーヌ・フロ)の職業は「助産婦」(Sage femme)、それがこの映画の原題です。映画はクレールが働く病院での出産シーンから始まり、この世に生を受けたばかりの新生児や周囲の人々の安堵と幸福感にみちた表情、決して楽ではない仕事に達成感と疲れをおぼえつつ、一日を無事に終えて夜遅くひとり自転車で帰宅するクレールの姿が、たんたんと映しだされていきます。ひとり息子のシモン(カンタン・ドルメール)は独立して今は一人で暮らすクレール。休日にはセーヌ川沿いの小さな菜園で野菜作りにいそしみ、隣の菜園で彼女と同じように趣味で農業をしているトラック運転手のポール(オリビエ・グルメ)とも気軽に言葉を交わします。
 平凡ながら充実した日常を送るクレールの目の前に、ある日突然、消息不明だった義母ベアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)が姿を現わします。ベアトリスはクレールとは対照的に、お酒とギャンブルが好きで自由を謳歌する生き方をしてきた女性。物語が進展するにつれて、対照的な二人の女性の性格や生き方が少しずつ浮き彫りになり、観客としては二人のいずれにも共感又は反感を覚える面があることに気づくかもしれません。
 カトリーヌ・フロとカトリーヌ・ドヌーヴ、二人とも数多くの映画に主演してきたフランスを代表するヴェテラン女優。二人の共演がなんといってもこの映画のみどころです。二人とももう若くはないけれど、自らの人生を歩んできた女優そして人間としての存在感が、登場人物のクレールとベアトリスにいっそうの生命力と輝きを与え、この映画を味わい深くしているように思います。後半部になって二人の女性と関わってくるトラック運転手のポールを演じるオリヴィエ・グルメ(ダルデンヌ兄弟監督『息子のまなざし』(2002) でカンヌ映画祭男優賞受賞)もまた、二人の女優にまけない独特の持ち味を発揮して、観客を楽しませてくれます。
 新たに迎える一日が、たとえ不確かな未来の始まりかもしれなくても、愛する人と別れることになるかもしれなくても、自分らしく生きていこうとする、登場人物たちの姿に思わず乾杯したくなるような作品です。 (浅井直子)